近年では、少子高齢化の影響もあり、身寄りのないご高齢の方も増加しています。
では、もし子どもや孫などの相続人がいないまま亡くなってしまった場合、遺された遺産の行方はどうなるのでしょうか。
相続人がいない場合は、「お世話になった方や公共施設等に寄付できないの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、相続人不存在とはなにかにくわえて、相続人不存在の遺産はどうなるのか、相続人不存在の手続きの流れを解説していきます。
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相続人不存在とは?
結論として、相続人不存在とは、相続すべき人が一人も存在しない状態のことを指します。
不動産を所有している方が亡くなった場合、相続人がいなければどのような状況が生じるのでしょうか。
まずは、相続人不存在が発生する具体的なケースやその原因について解説していきます。
一人もいない状態
相続人不存在とは、相続すべき人が一人もいない状態を意味します。
これは、法定相続人が全く存在しない場合や、全員が相続放棄をした場合などが該当します。
相続放棄がおこなわれると、その相続人は最初から相続人でなかったものとみなされることが原則です。
法定相続人が存在しない場合は、被相続人に配偶者や子供、親、兄弟姉妹などがいない状況です。
この状態では、相続する権利を持つ者がいないため、遺産の処理が通常の相続手続きとは異なります。
そして、相続人不存在の状態では、遺産の管理や処分が法律に基づいておこなわれます。
こうした状況に備えて、生前に遺言書を作成しておくことが重要です。
詳しくは後述しますが、遺言書があれば、相続人不存在の場合でも遺産の分配がスムーズに進むことがあります。
法定相続人
法定相続人とは、法律で定められた相続権を持つ方々のことを指します。
通常、配偶者や子供、親、兄弟姉妹がこれに該当します。
しかし、全ての法定相続人が相続を放棄した場合、相続人不存在の状態になるのです。
相続放棄
相続放棄は、相続人が相続権を放棄する手続きです。
相続放棄をするためには、家庭裁判所に対して一定期間内に申立てをおこなう必要があります。
これにより、放棄した相続人は最初から相続人ではなかったとみなされ、他の相続人に相続権が移ります。
しかし、全ての相続人が相続放棄すると、相続権が移る相手がいなくなるため、相続人不存在となるのです。
欠格・廃除
相続人の欠格や廃除も、相続人不存在の状態を引き起こす要因となります。
欠格とは、法律で定められた、「相続資格を失う事由」のことです。
たとえば、被相続人に対する犯罪行為などが該当します。
廃除は、被相続人が相続人の相続権を取り消す手続きです。
廃除が認められると、その相続人は相続権を失います。
廃除の申立ては家庭裁判所に対しておこなわれ、裁判所が認めると正式に廃除となるのです。
このように、欠格や廃除により相続人がいなくなると、相続人不存在の状態となります。
こうした場合、相続人がいないため、特定の手続きが必要となります。
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相続人不存在の遺産はどうなるの?
相続人不存在の場合、遺産はどのように処理されるのでしょうか。
実は、不動産を相続する人がいない場合、遺言書の有無や特別縁故者、そして国庫に帰属する流れが関与します。
この章では、相続人不存在の遺産がどのように処理されるかについて解説していきます。
遺言書
遺言書が存在する場合、相続人不存在でも、基本的にはその内容に従って遺産が分配されます。
遺言書は、被相続人が生前に残した遺産分配の指示書です。
法的に有効な遺言書がある場合、指定された受遺者に遺産が渡ります。
一方で、遺言書がない場合、相続人不存在となると遺産の処理が複雑になります。
遺言書は、被相続人の意志に基づいて遺産が適切に分配される効果があるため、法定相続人が存在しない場合に特に重要な役割を果たすのです。
なお、遺言書の作成は、公証人役場での公正証書遺言や、自筆証書遺言などの方法があります。
とくに、公正証書遺言は、法的効力が強く、遺産の分配がスムーズにおこなわれる利点があります。
特別縁故者
特別縁故者とは、法定相続人ではないですが、被相続人と特別な関係があった方のことを指します。
相続人不存在の場合、特別縁故者が遺産を受け取る可能性があります。
具体的には、被相続人と長期間同居していた友人や、看護に携わった方などが挙げられるでしょう。
このような特別縁故者が遺産を受け取るためには、家庭裁判所に申し立てをおこなう必要があります。
家庭裁判所が認めると、特別縁故者に対して遺産の一部または全てが分配されます。
この手続きは、被相続人の意思を尊重し、適切な人に遺産を渡すためのものです。
また、特別縁故者への遺産分配は、遺言書がない場合に特に重要だといえるでしょう。
国庫に帰属
相続人不存在の場合、最終的に遺産は国庫に帰属します。
これは、遺言書も特別縁故者も存在しない場合に適用されます。
国庫に帰属する遺産は、国家の財産として管理されることとなるのです。
なお、国庫に帰属する手続きは、相続財産管理人がおこないます。
相続財産管理人は、家庭裁判所により選任され、遺産の処理を担当することが一般的です。
この過程で、債権者への支払いがおこなわれ、その後に残った遺産が国庫に帰属します。
また、国庫に帰属する遺産は、公共の利益のために使用されます。
これは、相続人がいない場合の最終的な遺産の処理方法であり、遺産は無駄にされず、有効に活用されることとなるのです。
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相続人不存在の手続きの流れ
不動産を相続する人がいない場合、どのような手順で遺産が処理されるのでしょうか。
相続人不存在の状態では、遺産の処理が通常の相続手続きと異なる、特別な手続きを要します。
この章では、相続財産清算人の選任から特別縁故者への財産分与の申立てまでの手続きについて解説していきます。
相続財産清算人の選任
相続人が存在しない場合、まず相続財産清算人が選任されます。
相続財産清算人は、遺産の管理や処分を担当する役割を持ちます。
家庭裁判所に申立てをおこない、相続財産清算人を選任してもらうことが必要です。
また、相続財産清算人は、被相続人の遺産を適切に管理し、必要な債務の支払いをおこないます。
それだけでなく、遺産の現金化や不動産の売却などの処分も担当します。
相続財産清算人の任務は、遺産が最終的にどのように処理されるかを決定する、重要な役割を果たすのです。
相続財産清算人が選任されると、被相続人の全ての財産や負債が明確にされます。
その後、相続人不存在の状態を解消するための手続きが進められることとなるでしょう。
債権申立ての公告・相続人捜索の公告
相続財産清算人が選任された後、次に債権申立ての公告がおこなわれます。
これは、被相続人に対する債権者が債権を申立てるための手続きです。
公告により、債権者は一定期間内に債権の申立てをおこなうことが求められるのです。
次に、相続人捜索の公告もおこなわれます。
相続人捜索の公告は、家庭裁判所の指示に基づき、相続人が存在するかどうかを確認するための手続きです。
公告期間内に相続人が現れなかった場合、相続人不存在が確定します。
これらの公告は、相続財産の適正な処理を確保するために必要な手続きです。
債権者に対しては、債権の申立てを促し、相続人に対しては相続の権利を主張する機会を提供します。
特別縁故者への財産分与の申立て
相続人不存在が確定した場合、特別縁故者への財産分与の申立てがおこなわれます。
先述したように、特別縁故者とは、被相続人と特別な関係があった方を指します。
特別縁故者が財産分与を受けるために、家庭裁判所に申立てをおこない、家庭裁判所が認めると、遺産の一部または全てが分配される流れです。
この手続きが完了することで、相続人不存在の状態が最終的に解消されることとなるでしょう。
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まとめ
相続人不存在とは、法定相続人が全く存在しないか、全員が相続放棄、欠格、廃除などにより相続権を失い、相続すべき方が一人もいない状態を指します。
また、相続人不存在の場合、遺産は遺言書に従って分配されるか、特別縁故者に分配され、最終的には国庫に帰属されることが一般的です。
この場合の手続きの流れとしては、相続財産清算人の選任、債権申立ておよび相続人捜索の公告、特別縁故者への財産分与の申立て、となります。
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