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空き家で火災が発生する原因は?起こさないための対策や持ち主の責任を解説

空き家で火災が発生する原因は?起こさないための対策や持ち主の責任を解説

空き家から火災が発生する事故や事件は、毎年少なからず発生しています。
自身の空き家で火災が発生しないよう、事前に原因や対策などについて把握しておくと安心です。
そこで本記事では、誰も住んでいないはずの空き家の火災原因や、火災を起こさないための対策にあわせて、持ち主の責任についても解説します。

空き家火災の主な原因

空き家火災の主な原因

人の住んでいない家で、火が使われる場面はほとんどないにもかかわらず、火災による事故や事件は多数発生しています。
空き家で火災が起こる主な原因は、外部からの放火やタバコのポイ捨て、管理不足によるガス漏れなどです。

外部からの放火

空き家で火災が起こる原因のなかでも多いのが放火です。
人が暮らしていない家は人目につきにくく、不審者のターゲットにされやすい傾向にあります。
放火の被害に遭いやすい家の特徴は、人の気配が感じられない・敷地内を外から偵察しやすい・入口に鍵がかかっていないなどです。
家の周りに燃えやすいものが置いてある場合も、被害を受ける可能性が高くなります。

タバコのポイ捨て

タバコのポイ捨ても、主な火災の原因の1つです。
路上での喫煙は各自治体の条例によって規制されており、歩きタバコをする方は減っています。
しかし、人目のない場所や規制のない場所でタバコを吸う方もいるでしょう。
管理が行き届いておらず荒れた状態の場所であれば、タバコを吸う方の罪悪感も薄れて、ポイ捨てされるリスクがあります。
また燃えやすいゴミや枯れ葉などが堆積されていると、タバコの火が燃え移りやすくなり、ますます火事になる可能性は高くなるでしょう。

ガス漏れや配線機器のトラブル

外部からの原因以外にも、家の中でのトラブルが原因で、火災が発生するケースもあります。
長期間放置されたままでメンテナンスがされていないと、給湯器などの設備の老朽化により、ガスが漏れる場合があるので注意が必要です。
家を使っていなくても、電線には電気が通っている場合があります。
通常の電線は樹脂で覆われて絶縁されているため安全ですが、長期間放置された状態では樹脂の被膜が劣化したり、動物にかじられることもあるでしょう。
漏電が火事につながるのは、破損した部分から電気が漏れて火花が飛び、周囲に引火するためです。
空き家が傷んで雨漏りする場合は、水濡れによって劣化がさらに進むため、トラブルを引き起こす可能性はより高くなります。

空き家で火災を起こさないための対策法

空き家で火災を起こさないための対策法

資産である空き家を守り、周囲に被害を及ぼさないためには、何らかの対策が必要です。
住む予定がない場合は、賃貸に出したり売却したりするのがおすすめですが、すぐに実現できない事情もあるでしょう。
本章では火災を起こさないために、現状でとれる対策を解説します。

定期的な管理が重要

スケジュールを決めて空き家の管理を定期的におこなうのが、トラブルを防ぐのに効果的な対策です。
室内はもちろん家の周囲も掃除をして、古紙などのゴミや灯油タンクなどの燃えやすいものを、置いたままにせず片付けましょう。
管理を怠り放置状態が続くと、家や土地が荒れて、ゴミを不法投棄される可能性も高くなります。
そのため敷地内の植木や雑草の手入れをおこない、不法投棄されたゴミはその都度処理しましょう。
人が住まなくなると欠陥に気付きにくいため、メンテナンスが行き届かなくなります。
そこで定期的な訪問による、建物や設備の老朽化や破損がないかのチェックが必要なのです。
室内に動物のフンなどの形跡が残されている場合は、動物のすみかになっている可能性があります。
動物に電線をかじられて、配線機器に異常が生じていないかも確認しましょう。
空き家が遠方にあったり、管理する時間が取れなかったりする場合は、空き家管理を専門とする不動産会社に依頼するのも対策の1つです。

持ち主にできる放火対策

放火から空き家を守るためには、管理がしっかりおこなわれていると、周囲にアピールするのが重要です。
庭はきちんと手入れして、郵便受けにチラシがあふれる状態にならないよう、外からの見た目にも気を配りましょう。
ドアや窓には鍵をかけ、門扉も施錠して、簡単に外部からの侵入を許さないような対策も必要です。
人感センサーで点灯するライトを設置する対策も、不審者の警戒心を高めて、犯罪を抑止する効果があります。
くわえて、目につきやすい場所に、管理業者の社名や連絡先が明記された看板を設置すれば、管理者の存在を周囲に示せるでしょう。
そして近所の住民ともコミュニケーションをとるように心がけ、何か気になる点があったら知らせてもらうようにお願いしておくのも対策の1つです。
見回りをおこなうなら、不定期にしたほうが、犯人にスケジュールを予測されにくくなります。

空き家で火災が起きたときの持ち主の責任

空き家で火災が起きたときの持ち主の責任

所有する空き家が火元になって火災が発生し、周囲の住宅に燃え移って被害を与えてしまう場合もあるでしょう。
失火の場合は責任を問われないのが基本的ですが、状況によっては損害賠償責任を負う場合もあるため、注意が必要です。
損害賠償責任を問われるポイントや、重過失があると判断されるケースを解説します。

損害賠償責任を問われるポイント

失火責任法では、所有する家の失火が原因で近隣の家が被害にあったとしても、損害賠償責任には問われないと定められています。
失火責任法が定められた当時は、木造住宅が密集して建ち並んでおり、火災が発生すると被害が広範囲に及ぶケースも少なくありませんでした。
責任を問われても当事者の賠償能力を大きく上回り、損害をつぐなうのは実質的に不可能な状況が背景にあったとされています。
しかし、民法では故意や過失によって他人の権利や利益に損害を与えた者には、賠償する責任があると定められています。
失火責任法でも重過失があったときは除外するとされており、火元となる空き家の持ち主が損害賠償責任を負う可能性がないわけではありません。
火災保険に入っていたとしても、安心はできません。
基本的に火災保険で補償がうけられるのは居住している住居のみで、近隣の住宅は対象外です。
類焼損害補償特約をつけていたとしても、空き家には適用されない場合がほとんどであるため、保険の補償内容には注意しましょう。
空き家を対象にできる保険もありますが、保険料が高額なうえに条件が厳しく、建物の管理状況次第で加入できない場合もあります。

重過失があるとされるケース

放火の被害にあったときは、第三者の犯罪行為が原因であるため、所有者は損害賠償責任を負わないのが一般的です。
ただし、空き家の管理状態が悪い場合は、責任を問われるおそれがあります。
敷地内が荒れ放題で鍵もかかっていなかった場合には、容易に第三者が犯行をおこなえる状況を作ったと判断され、重過失とされる可能性があるためです。
放火以外にも、漏電による火災で重過失と判断されるケースもあります。
空き家の電線の管理責任を負うのは所有者です。
適切なメンテナンスを怠ったために漏電した場合には、単なる過失ではなく管理面での重過失と判断される場合もあるでしょう。
また火災が発生する可能性があるのに気付いていたにも関わらず、放置したままで防止対策をとらなかったと判断される場合もあります。
たとえば、不審者が侵入して放火しようとした行動を目撃したのに警察へ通報をせず、その夜に放火事件が発生したケースなどです。
きちんと管理をしていた場合であっても、警察への通報を怠った行為が重過失と判断されるおそれがあります。

まとめ

空き家で火災が発生する主な原因は、放火やタバコのポイ捨て、ガス漏れなどです。
失火や放火を防ぐためには、燃えやすいものを置かないように掃除したり、メンテナンスをおこなったりなどの定期的な管理と周囲へのアピールが重要です。
管理が不十分であったり、適切な対応がとられていなかったりする場合には、重過失と判断されて損害賠償責任を負う可能性があるので注意しましょう。